劇団のら 第5出撃!

   『不幸のすゝめ』 作、原田和真 演出、安部裕輔
   11月13日(日) 18:05~19:28  山形市民会館 小ホール
   入場料 当日800円(招待券で入場)  入場数、未確認(100名?)
 
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 客席はパイプ椅子が並んでいる。後方の席は台上にあったようだ。最前列は薄縁が敷いてある。
 小ホールの舞台は反射板型になっている。そこを黒幕で覆っているので奥に向かって狭くなる。奥に2間ほどの尺高の部分があり、その上・下にあぶらげが続いていて、そこから斜めに開いて3尺幅のスロープが下っている。あまりその上を動いたりはしない。台の上に座席を置いたり、板を立てかけてベッド?にみたてたりする。上・下の袖は浅いので黒パネルを立てている。
 舞台上に2本、前に1本のバトンがあり、22本の灯体が吊ってある。暗転は5本のブルー暗転と完全暗転とがあった。調光室からのスポットもあったようだ。
 音楽は、非現実的なコントに合っていた。
 
 以下の7編の短編、「ごあいさつ」、「戦争」、「タケルとミノルとかつらと男」、「少女A」、「むぎちゃんとチャイ」、「交換」、「ロミオとジュリエット」が、12人の役者によって連続して上演される。違いを出すために、衣装が効果的に用意されている。
 作者の原田和真と吹雪ビュンが、それぞれ4役をこなしている。
 
 「少女A」…ある女の子(名前で呼ばれたが忘れた)の成長を次々に衣装小物を加えていくことと、入学や卒業、出会い、恋、結婚といった場面で描いていく。そして娘の誕生、成長が加わり、かつて見たような場面が繰り返される。やがて孫娘が誕生し、さらに重ねられていく。ついに、おばあちゃんになった女の子は臨終を迎える。女の子以外は黒い衣装で、頻繁な役の変化に備えている。
 これは「あゆみ」かもしれない、と思って見た。結構感動的だった。
 
 「交換」…上・下のトップライトの下に2人の男がいる。大金持ちと貧乏人。自分の暮らしに嫌気がさし、変えたいと思っている。2人が入れ替わる。入れ替わった生活を楽しむ2人。しかし、飽きてくる。前の方が良かったと思う。もとにもどって安心する。
 続いて、2人は目の見えない男と耳の聞こえない男になる。2人は入れ替わる。見えなかったものが見える。聞こえなかった者が聞こえる。喜び。しかし、かつて自分が感じていた世界とのギャップに驚く。見たくなかったもの、聞きたくなかったもの。2人は元に戻る。そして観客に言う。「あなた方は、私たちと違ってすべてを引き受けなければならない。たいへんですね。」 これはなかなか効いた。
 
 全体的に面白く観させていただいた。短編で稽古が行き届いているのかセンスが良いのか、台詞や動きに変にもたつく事がないのが良い。
 
 ただ、こういった短編でばかりでなく、90分のお芝居を作ってほしいという思いがある。作者の方は、「どだなだ`s」の旗揚げ公演で見たのが初めてだと思うが、役者としても幅広い感じなので、もっと違った役を見てみたいとも思った。