山形大学演劇集団舞台工房 第43幕 新入生歓迎公演

 『表に出ろい!』 作、野田秀樹  演出、及川俊亮
 平成26年4月5日(土) 17:00開演 18:26終演
 山形大学小白川キャンパス サークル棟  入場料500円  入場数30人弱
 11日(金)17:00 12日(土)14:00 にも上演あり
 
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 うちのチラシを差し込んでいただくために早めに会場へ。快く折り込んでいただく。
 入り口からすぐ客席になっていて、土足で入場できた。平台の段の上に椅子で20席。平土間に座布団が10枚くらい。正面が舞台になっている。この配置は自分は初めてだが、前回(シラノ・ド・ベルジュラック)もこうだったとのこと。これまでは入って右手に客席、左手が舞台だった。
 学内は人が多く、新入生向けの行事があったようだ。各サークルの勧誘が行われていた。
 
 野田秀樹がこういう作品を書いていたのか、というような作品だった。ブラックなドタバタギャグと言おうか、大半怒鳴り合っているような芝居。
 ネットで見ると、2010年、作者が勘三郎と夫婦役(作者が妻)をした芝居で、娘役にはWキャストであるが黒木華が入っている。
 
 能の宗家の家。夫婦が早い夕食をかき込んでいる。これから2人とも出かけるという。お手伝いさんも弟子も当分いないので、互いに相手に留守番を頼みたいのだが(というのも愛犬の出産が間近なのだ)できないというので喧嘩になる。娘がいるが、彼女もいったん帰宅した後また出かけるという。
 夫はデスティニーランドのエロトグロ二カルパレードに、妻はジャパニーズのコンサートに、娘はクドクナルドハンバーガーショップに並ぶというのだ。
 三者の醜い争いとなるが、娘は実は怪しい宗教にはまり、今日の9時に世界が滅亡すると信じて某所に避難しようとしているのだと判明し、怒った父は娘の携帯を壊し、電話線を切る。
 3人は互いを出し抜くため、犬用の鎖を部屋の柱と相手の足とに結び、鍵を掛けてしまう。その鍵はトイレに流してしまうという過激さ。3人ともつながれた状態になっても争い続ける。
 9時に滅亡するかしないかで父親と張り合う娘は、教祖からもらった人魚の粉(これを飲むと生まれ変わるという)を溶いて飲む。倒れて息のない娘を夫婦は助けようとするがすべはない。しかし9時が過ぎても何事もなく、娘もただ様子を見ていただけの死んだふりであった。
 やがて、鎖の範囲内しか動けない3人は、完全防音の家の中で水も飲めず、助けも呼べないことに気づく。雪山で遭難したかのように衰弱していく3人は、今現れてくれたらどんな神でも信じると言う…。そこでドアが開く!
 
 書いてみると悲惨な?話だが、ありえない設定ばかりなので見ていてあっけにとられてしまう。
 中村勘三郎野田秀樹だからこそ成り立つ芝居なのかもしれない。
 
 舞台美術は、初演はカラフルな縞模様になっているようだが、今回の装置は普通の日本間だった。間口3間半、奥行き2間に尺高で畳が敷いてある。下手奥袖が玄関でドアがあり、三和土が一段低い。その隣が3尺幅で奥への出入り口。そこから1間幅で壁、棚(電話などある)。上手が奥への階段(1間幅)。4段ほど上って踊り場、壁の裏に入っていく。上手袖の中がトイレなど。白い壁のパネルは9尺高で、柱や鴨居が板で表現してある。上手手前に鎖をつなぐ柱(床から少し上まで立っている)。
 壁に「色即是空」の稚拙な字が貼り付けてある。全然能の宗家の家には見えない。夫の出で立ちも相まって、落語の師匠の家かと思われた。
 妻役が男であるのは原作通り。意外に鼻が高くて美人? この方が「シラノ」を演じたのだそうだが納得。
 
 5本くらいの500ワット灯体と2台のボーダーライトで明かりを作っていた。下手ドア裏からの明かりもあった。
 
 熱演、お疲れ様でした。新入部員がたくさん入るといいですね。
 うちの定期公演も観ていただけたらありがたいです。