「戦争はしないでください」

 戦争は二度としてはいけない。と今日の方も先日の方もおっしゃった。非戦闘員の、何の罪もない少女が強制的に勤労動員された先で、容赦なく撃ち殺されるのが戦争だ。そんなことはあってはならないと
 
 戦争はしてはならない、という言葉を誰に言っているのか。もちろん今の、後世の日本人に言っているのだ。つまり過ちを繰り返すのは私たち今の、後世の日本人ということなのか。二度と「日本が」「侵略戦争を」起こさないように、という戒めなのだろう。
 
 「一般人が死ぬことは許されない」には、「軍人・兵隊同士が戦うならまだしも」ということが付いてくる。
 自衛隊が地球の裏側のどこかに行って他国の人を殺すとか、政府が一般人を強制的に徴兵して戦争させるとか、そんなことは今の日本人の誰も許さないだろう。私たち日本人は誰も、自ら戦争を他国に仕掛け、他国の一般人を殺そうなどとは考えていない。
 自衛隊は日本の一般人を死なせないために戦う。平和に暮らす人々を守るために志願して任務に就いているのだ。自衛隊が負けたらその時は降伏だが、当然、一般人の自由と平和な生活は失われる。
 
 私たちは隣国の人々に向かって、「戦争はしてはならない」と言ってはいけないのか。あるいは中東で、東欧で、アフリカで、「一般人を殺してはならない」と言わないのか。今この時も、罪のない一般人を殺している人々に向かって「殺すな」と言わないのか。